書評

真実の自己の探求 『ウパデーシャ・サーハスリー』シャンカラ著

インド最大の哲学者と言われるシャンカラの本の紹介です。

シャンカラ哲学の目指すところは、輪廻からの解脱であり、それには自己の本体である(アートマン)=宇宙の根本原理(ブラフマン)の知識を悟ることです。

しかしながら、病気や死や悩みで苦しむ自己が本当にブラフマンと同一であり得るのかという疑問を普通の人は持つ(当たり前(^ω^))ので、シャンカラはこの受け入れがたい真理をいかにわかりやすく効率的に教えるかを考えたとのことです。

ウパデーシャ・サーハスリー―真実の自己の探求 (岩波文庫)

訳者のまえがきを簡単に抜粋しますと

疑うことのできないウパニシャッドが、「君はそれ(=ブラフマン)である」といっているのに、われわれはそれをなかなか理解することが出来ない。それは、「君」という言葉の意味を正しく理解することがからである。換言すれば、われわれが本来の自己を見失っているからである。本来の真実の自己とは何か、これこそシャンカラが弟子たちに徹底的に理解させようとしたことであった。
シャンカラの門を叩くものに、シャンカラが最初に発する質問は、「君はだれですか」である。

本書は非常にロジカル、論理的に書かれた書籍です。①カルマ(行為)ヨーガ、②ギャーナ(智識)ヨーガ、③パクティ(信愛)ヨーガとある内のこれは②ギャーナ・ヨーガの最たるものって感じがしました。

というか、シャンカラはこの智識の道だけが解脱に至る唯一の道と考えていたようです。

ラーマクリシュナは、カリユガはパクティ一択だよって言っていますが、頭が良い人は智識だけでも解脱に至れちゃうのかもしれないですね(;^ω^)

インド占星術っていうのは、過去のカルマ(業)から生じる出来事をホロスコープによって解読するということになるので、こういったカルマやアートマンに言及するような書籍は副次的に占星術の勉強にも繋がるような気がします。

本書ものっけからカルマ論全開です。あんまり、引用を多くはしたくないのですが、非常にためになるので冒頭の散文編1章を少しだけ・・・

三 [過去の生存における善悪の行為の結果としての]業は、[その業にふさわしい神・人間・動物などの]身体との結合をもたらす。身体と結合すれば、好ましいことと好ましくないことが必ず起きる。好ましいことと好ましくないことから貪欲と嫌悪が起こり、貪欲と嫌悪から諸行為が起きる。

四 [諸行為から]善行と悪行が起こり、善行と悪行から無知な人は、再び同じように、身体と結合する。このように輪廻は、車輪のように、永久に激しく廻り続ける。

五 輪廻の根源は無知であるから、その無知を捨てることが望ましい。それにえに、[ウパニシャッドにおいて宇宙の根本原理]ブラフマンの知識が述べ始められたのである。その知識から至福(=解脱)が得られるだろう。

カルマ(業)というものが、当たり前のように前提条件として提示されています。ここからどんどんアートマン=ブラフマンについての論理が展開していきます。

後半部では、『弟子を悟らせる方法』という章があって、非二元論について弟子が色々といちゃもんをつけてきた時の問答集が載っています(‘ω’)笑

学問の参考書でも読んでいるような感じですけど、非二元論の勉強にはなるかなと思える一冊です。

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